【はじめに】
静岡医療センターは静岡県のどこにあるかご存じでしょうか?。静岡県東部、沼津市と三島市の間の駿東郡清水町という小さな町にあります。日本三大清流である柿田川(富士山の湧水で有名)のある町です。北に富士山、東に箱根連山という雄大な景観を望むことができるのは、当院に勤務する人の特権です。
当院は、昭和42年に国立三島病院と国立沼津病院が統合し、国立東静病院として発足、その後平成16年に独立行政法人国立病院機構静岡医療センターに改称しました。また、平成29年10月に静岡富士病院と機能統合しました。標榜診療科26診療科、病床数450床を有し、静岡県東部における、循環器、がん、救急、総合診療の4本を柱とする急性期医療、そして神経・筋疾患、重症心身障害を中心とする慢性期医療を提供しています。
【薬剤部の概要】
さて、薬剤部は薬剤師20名で調剤、製剤、DI、薬剤管理指導業務、病棟薬剤師業務、チーム医療、外来関連業務、治験・臨床試験業務などを行っています。院外処方箋発行率は約96%で、2016年に病棟薬剤業務実施加算1、2017年に2の施設基準を取得し、病棟業務に力を入れています。
1) 病棟業務
ICUを含む全病棟に薬剤師を配置し、さらにその薬剤師をフォロー・指導する中堅薬剤師を配置し、薬剤師が病棟に不在とならないような体制をとっています(夜間土休日除く)。
病棟業務ではプレアボイドの報告数が多いことが特徴です。薬学的患者ケアを実践し、年間で1200件以上のプレアボイドを行い、そのうち500件以上を日本病院薬剤師会へ報告しています。プレアボイドはその内容を薬剤師全員で情報共有し、最も患者の不利益回避に貢献したと思われる報告を薬剤部全員が投票し、優秀な報告を毎月表彰するとともに薬事委員会で報告しています。プレアボイド活動は院内でも評価され、その内容と報告数について医療安全部門からGood Jobとして表彰を受けています。また、医薬品の副作用に関する情報も収集し、内容を評価した上でPMDAへ報告しており、その報告数は2018年度65件でした。副作用に関しては、医師からの依頼があった場合、患者への副作用救済制度の説明を行っています。
2) プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)業務
最近特によく聞く「医師の業務負担軽減」や、薬剤師には医療チームの中で薬剤の専門家として医療の質向上に貢献する業務の一つに、PBPMがあります。当院では現在8種類のプロトコールが存在し、毎月100件程度を実施しています。昨年度は「医学管理料入力サポートプロトコール」を開始し、薬剤の血中濃度、治療計画の要点を電子カルテに記載し、特定薬剤管理指導料を請求しています(もちろん医師の事後承認を得ております)。
3)外来関連業務
医師や看護部からの依頼もあり、がん化学療法と在宅自己注射に関する薬剤の初回指導を行っています。がん化学療法の指導には、薬剤部で作成したTipsシートを用い、指導に係る準備を最小限とし指導内容に漏れがないようにしています。Tipsシート作成は、平成30年度のQC活動として行われ、若手薬剤師が中止となり20種類弱が完成しました。また、手術で入院予定の患者の持参薬確認を実施することにより、入退院支援加算請求にも関与しています。
これらの業務や製剤、無菌調製業務は、ほぼ全員の薬剤師(私はできません)が行っており、誰もがサポートできる体制となっています。これを達成するため、新人から勤務数年の薬剤師を中堅薬剤師が指導し、さらに経験豊富な病棟業務担当の主任薬剤師が全体を統括するシステムで指導を行っています。
4)薬薬連携
PBPMの一環として薬剤師会との合意の下、院外処方箋の疑義紹介不要項目を設け、変更内容はFAXで連絡を受けた後、電子カルテの処方修正を行っています。薬薬連携は現在試行錯誤中ですが、昨年からトレーシングペーパーの運用を開始し、調剤薬局からの情報を受けているところです。
5)その他
チーム医療では感染管理、がん化学療法、栄誉管理、糖尿病、緩和、認知症、医療安全などに係わっています。さらに感染管理では、昨年4月から薬剤師1名がASTの主要メンバーとして活動しています。治験・臨床研究部門は主任薬剤師1名が事務局業務を行っています。
【終わりに】
2019年度は、救急総合診療科がスタートする予定です。現在も救急対応は行っていますが、救急に特化した医師の派遣を受けることにより、より効率的な救急体制となる予定です。薬剤部も今後協力体制を検討していきたいと思います。秋には病院機能評価が待ち受けており、業務の内容、質を高めていく必要があると感じています。
温暖な気候に加え、世界遺産の富士山や韮山反射炉、伊豆の温泉、天城越えなど見どころいっぱい。また、伊豆の金目鯛、タカアシガニ、三島のウナギ、沼津の干物、天城のわさびなどおいしいものもいっぱい。さらに、東京の有名テーマパークへの日帰り旅行も可能!。ぜひ、静岡医療センターで働いて、休日を楽しんでみませんか?
【昨年度統計】
1日平均患者数 外来457.0人 入院336.4人
1日平均処方箋枚数 外来8.2枚(院外処方箋発行率96.4%) 入院140.5枚
注射箋枚数 外来37.5枚 入院339.6枚
薬剤管理指導料 1,191.5件/月(薬剤師一人当たり72.6件)
退院時薬剤情報管理指導料 194.3件/月
持参薬鑑別 428.3件/月 抗がん剤調製 144.7件/月