天竜病院のある静岡県浜松市は、人口80万人超の全国で16番目の政令指定都市です。豊かな自然に恵まれ、浜松城を中心に北は赤石山系、東は天竜川、南は遠州灘、西は浜名湖と四方を異なる景色に包まれています。気候は温暖で、日照時間は2011年に日本一となって以来全国トップクラスを継続しており、とても暮らしやすいところです。
天竜病院のたもとを流れる天竜川は、長野県の諏訪湖を源として、愛知県、静岡県を経て遠州灘へ注ぐ流路延長213kmの一級河川です。流域は急峻な地形のため古くから「暴れ天竜」として知られ川下りも有名ですが、2011年に二俣城址付近で起きた転覆事故のあと「遠州天竜舟下り」は廃止されてしまいました。最寄り駅となる西鹿島駅は、JR掛川とJR新所原を結ぶ天竜浜名湖鉄道(通称:天浜線)の中間点であり、新浜松駅へ向かう遠州鉄道(赤電)の始発駅です。駅からは遠鉄バスで病院まで10分程です。病院の住所は浜松市浜北区ですが、敷地のほとんどは天竜区にあり、市街地から20kmほど北へ、山間部へさしかかるところにあります。そのため、まれですが野生の猪や鹿に遭遇したり、最近では子連れの猿が病院によく現れます。
さて、天竜病院の歴史は、昭和15年に国立結核療養所天龍荘として設置され、昭和54年に国立療養所天竜病院に改称しています。天竜病院の始まりは「龍」だったのです。平成16年には独立行政法人国立病院機構天竜病院となり現在に至ります。平成24年2月に病棟を新築し、平成30年3月には真っ白い新外来診療棟が完成しました。その後、旧外来棟、看護学校等を取り壊し、駐車場の整備も終えて平成31年3月に新しい病院として生まれ変わりました。薬剤科は新外来診療棟の2階に配置され、広く明るいスペースを確保しています。丘陵地の特徴を生かし、2階でありながら問屋の車を横付けできる工夫もされています。
当薬剤科は現在、常勤薬剤師5名、薬剤助手1名です。外来調剤の負担はほとんどありませんが、病棟は一般32床、結核20床、障がい者116床、重心110床、児童精神50床の計328床で、最近では常に300人前後の入院患者があるためのべつまくなし入院調剤を行っている状況です。当院では、重症化する重心患者、ALSをはじめとする神経難病、慢性呼吸器不全等に対応するため全ての病棟で7対1看護となっています。また、ADHDなどの児童精神疾患に対応できる数少ない施設であり、処方が複雑化するとともに薬剤師への期待が高くなっています。
そのような中、効率よく安全に業務を行ううえで当院で導入している心強い味方を紹介します。1つ目は、注射剤監査システム(F-Audit:TOSHO)です。これはiPodを利用し、注射箋に印字されたバーコードでサーバーから処方情報を読み込み、注射薬本体のバーコードを読むことで鑑査を行います。バーコードを読み取る時間が手間と思われがちですが、目と耳で確認でき慣れてしまえば安心感が勝ります。調剤完了時に流れる「キュピーン」を聞かないとどこか落ち着きません。このシステムの補助もあり、当薬剤科では注射薬の払い出しミスは発生しておりません。本システムは他へも応用が可能で調剤の進捗管理、錠剤自動分包機や散剤補充時のWチェック、写真撮影と補充履歴を連携させる事で医薬品のロットや期限管理もできます。
2つ目は、混注監査システム(AddDis:TOSHO)です。当院では抗がん薬の混注は月5件程度ですが、新外来診療棟移転に伴い本システムを導入し、全ての抗がん薬を薬剤科で調製できるようになりました。
最後に、皆様は「りゅうりゅうくん」をご存知ですか?天竜病院ではマスコットキャラクターの「りゅうりゅうくん」が活躍しています。病院主催のイベントは勿論ですが、地元の産業まつりや「遠州はまきた飛竜まつり」にも参加しています。りゅうりゅうくんに会いたい方は、ぜひ天竜病院に遊びに来てください。